青い色素を一滴も持つ鳥はいない アオカケス、クジャク、カワセミ──どれも青い色素を一片も持っていない。その羽根は透明なケラチンでできており、幅およそ150ナノメートルの無数の空気の隙間が刻まれている。この構造が青い光だけを目に跳ね返し、下にある茶色のメラニンが残りを吸い込む。羽根を押しつぶすと構造は崩れ、青は消えて、くすんだ茶色だけが残る。
フクロウの翼は自らの音を消す フクロウがほぼ無音で狩りをできるのは、羽根に組み込まれた三つの仕掛けのおかげだ。前縁に並ぶ硬いくし状のギザギザが、うるさい乱気流を小さく静かな渦へと砕き、柔らかなビロード状の表面が音を吸い込み、後縁のほつれた縁が空気をなめらかに逃がす。これらが合わさって、ネズミに聞こえる高い周波数だけをちょうど消す。技術者は今、この設計をまねて扇風機や風力タービンを静かにしている。
羽根はどれも自らをファスナーのように閉じ直す 羽根を引き離せば裂け、なでれば元に戻る。羽枝と呼ばれる一本一本の枝からは、何百もの小さな小羽枝が伸び、それぞれが顕微鏡サイズのかぎを持って、隣の羽枝の溝に引っかかる。まるで自ら直るファスナーのようだ。一枚の風切羽には、このかぎが百万個以上もある。鳥が羽づくろいをするとき、その何千ものかぎを、なめらかで気密な一枚の面へと閉じ直しているのだ。
フラミンゴは自らを二重にピンクに染める フラミンゴは灰色で生まれる。ピンクになるのは、カロテノイド色素をたっぷり含んだ藻類や塩水のエビを食べ、それを伸びていく羽根へと運び込むからだ。その食事を断てば、色は白へと戻っていく。求愛の前にはさらに念を入れ、尾の近くの腺から出る色素豊かな脂を、頬紅のように首や背中にこすりつけて、太陽が絶えず褪せさせていく色を補っている。
粉になる羽根を生やす鳥がいる サギは、伸びるのを決してやめず、生え替わることもない奇妙な羽根のかたまりを持っている。粉綿羽だ。その先端は、たえずタルクのような細かいケラチンの粉へと崩れていく。サギはこの粉を、特別なくし状のかぎ爪で羽毛じゅうにすき込み、魚のぬめりや汚れを吸い取らせてから、また梳き出す。泥の中を歩いて一生を過ごす鳥に備わった、ドライシャンプーなのだ。
羽根の形は、その鳥が飛べたかを明かす 飛ぶ鳥では、風切羽の一枚一枚が左右非対称で、前縁が狭く後縁が広い。小さな翼の断面そのものだ。ダチョウのような飛べない鳥は、かわりに柔らかく左右対称の羽根を生やす。このたった一つの手がかりから、科学者は1億5千万年前のアーケオプテリクスの羽根を読み解いた。はっきりと非対称な羽弁が、この古代の生き物がすでに飛ぶための翼を備えていたことを証明したのだ。
ペンギンが着ているのは毛皮ではなく羽根だ ペンギンの装いは毛皮のように見えるが、実際は短く硬く密に詰まった何千枚もの羽根で、その一枚一枚の根元には綿毛の房がある。屋根瓦のように重なり合い、温められた空気の薄い層を閉じ込め、水を完全にはじいて、羽根でできたウェットスーツとして働く。脂を塗り、羽づくろいで整えられたこの層が、無防備な人間なら数分で命を奪う水の中で、鳥を乾いたまま暖かく保つ。
最も暖かい綿毛は、巣ごとに手で集められる ケワタガモは、糸のような繊維が互いに絡み合って弾力のある立体の網となる、きわめて細かい綿毛を巣に敷きつめる。その綿毛は、重さあたりで地球上のどんな綿毛よりも多くの空気を閉じ込める。養殖はできない。人々はヒナが巣立ったあと、野生の巣から手で集める。わずか1キログラムを満たすのに、およそ66個の巣の綿毛と、65時間ほどの根気強い作業がいる。