決して離さない8つのもの

DC·82 Deep Cuts
ヤモリは接着剤も吸盤もなしでくっつく

ヤモリは接着剤も吸盤もなしでくっつく

ヤモリの足は、剛毛と呼ばれる約50万本の微細な毛で覆われ、その一本一本がさらに細い約千本の先端に分かれ、足一本あたり約10億の接触点になる。接着剤も吸盤も使わない。その代わり、先端が表面にきわめて近づき、ファンデルワールス力という弱い分子間の引力が働く。2002年の研究では、一本の毛が水になじむ表面となじまない表面に同じようにくっつくことが示され、この仕組みは真空中でも働くことを意味する。
この貝は水に強いタンパク質で自分を貼りつける

この貝は水に強いタンパク質で自分を貼りつける

ムール貝は、波に打たれる濡れた岩に、粘着性の小さな板で先端を覆われた細い糸の束で錨を下ろす。その接着剤の秘密はDOPAという珍しい構成単位で、そのカテコールの化学が表面から海水を押しのけて直接結合し、水中でその場に固まる。たいていの家庭用接着剤は濡れると役に立たないため、完全に水没したまま硬化するこのタンパク質接着剤は、外科や海洋の接着研究の手本になっている。
フジツボのセメントは水中で硬く固まる

フジツボのセメントは水中で硬く固まる

フジツボはいったん居場所を選ぶと二度と動かず、海水中で固まるタンパク質のセメントで一生その場に貼りつく。測定された接着力は硬い自然の表面で約0.9メガパスカルに達し、引き出しの中の家庭用接着剤ならただ滑り落ちてしまうまさにその場所で最も強くつかむ。水没したまま硬化し、はがれにくいため、このセメントは自然界で最もよく研究された水中接着剤の一つだ。
この虫は30秒で固まる水中セメントを練り上げる

この虫は30秒で固まる水中セメントを練り上げる

サンドキャッスルワームは、砂粒を一つずつ使って管を築き、水中で押し出す二成分のタンパク質セメントで砂の一片ずつをなでつける。接着剤が海水に触れると、急な酸性度の変化がそれを引き起こし、約30秒で丈夫で革のような固体に固まり、その後も何時間も硬化を続ける。こうして貼り合わされた砂粒は、礁を重ねて車ほどの大きさの蜂の巣状の塊に融合することもある。
獲物を捕らえるため秒速5メートルで粘液を発射する

獲物を捕らえるため秒速5メートルで粘液を発射する

カギムシは、口の両脇のノズルから粘液の二本の噴流を秒速約5メートルで噴き出し、飛ぶあいだ左右に振り回して狩りをする。液状の糸は獲物の上に絡みつき、数秒のうちに水っぽい粘液からガラスのような粘着性の網へと固まり、獲物を押さえつける。それからカギムシはのんびりと近づいて食べ、後に乾いた粘液を食べて再利用する。
カタツムリの粘液は接着剤と潤滑剤を同時にこなす

カタツムリの粘液は接着剤と潤滑剤を同時にこなす

カタツムリは、相反する二つの仕事を同時にこなす薄い粘液の層の上を這う。止まっているときは固い接着剤のようにふるまい、垂直の壁にも、さらには逆さまにも体を固定する。筋肉質の足が波を打って押したりずらしたりすると、たちまち滑りやすい潤滑剤に液化し、力が抜けた瞬間にまた固まる。その秘密は組成にあり、91〜98パーセントの水が、大きな糖タンパク質のまばらな網に保たれている。
この実の粘液は爪の幅から2メートルまで伸びる

この実の粘液は爪の幅から2メートルまで伸びる

ヤドリギの実をつぶすと、種はビスシンに包まれて出てくる。これは、らせん状のセルロース繊維が織り込まれた透明で粘り気のある粘液だ。引っ張ると、幅約5ミリの塊が2メートルを超える糸へと伸び、やがてセメントのように硬く乾く。野生ではこれが種を鳥のくちばしや枝に貼りつけ、そこで次のヤドリギが根づく。同じ繊維は皮膚や木材、金属も接着し、天然の接着剤として注目されている。
知られる最古の接着剤は20万年前の白樺タール

知られる最古の接着剤は20万年前の白樺タール

これまでに見つかった最古の接着剤は、現代の発明ではなく、約20万年も前にネアンデルタール人が作った白樺の樹皮タールだ。白樺の白い樹皮の巻いた切れ端を空気を絞って加熱すると、黒くて粘り気のあるピッチがしみ出し、冷えると硬く防水の接着剤になり、石の穂先を木の柄に固定するのに使われた。それを作るには本物の技術が要り、こうした計画性が遠い親類に深く根づいていた証拠となる。
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