毒のかかとトゲを持つのはオスだけ オスのカモノハシは後ろ足の足首に中空で硬いトゲを持ち、繁殖期に膨らむ腺がそこに毒を送り込み、交尾をめぐる争いでライバルを刺す。毒は人を殺しはしないが、激しい痛みが数日から数週間続くことがある。1991年に記録された事例では、傷の痛みはモルヒネにまったく反応しなかった。
一滴あたり最も毒性の強いヘビ毒 乾燥したオーストラリアに棲むナイリクタイパンは、マウスでの致死量で測った陸生ヘビ最強の毒性記録を持つ。その毒は皮下LD50で約0.025mg/kgで殺し、コブラやガラガラヘビの値をはるかに下回る。それでもこのヘビは臆病で人目を避け、人が噛まれることは極めてまれだ。
刺胞は100万分の1秒もかけずに発射される ハコクラゲは触手に詰まった刺胞という顕微鏡サイズのカプセルで刺す。引き金が引かれると、各カプセルは裏返り、毒を仕込んだ糸をわずか700ナノ秒で皮膚に打ち込む。生物界で知られる最速級の動きだ。発射時には数百万Gの加速度が生じ、だから触手にかすっただけで毒が瞬時に注入される。
トカゲの毒が糖尿病の薬になった アメリカドクトカゲは溝のある下の歯から毒を噛み込み、その毒にはエクセンディン4というホルモンに似たペプチドが含まれる。このペプチドはインスリン分泌を促すヒトの腸ホルモンと約半分が同一でありながら、体内ではるかに長く働くため、合成版が2005年に血糖治療薬として承認された。砂漠の鈍重な狩人が、糖尿病の治療法を作り替えてしまった。
このサソリの毒は腫瘍を探し当てる デスストーカーというサソリは、わずか36個のアミノ酸からなるクロロトキシンという小さな毒ペプチドを持ち、健康な組織は無視して特定のがん細胞に結合する。研究者はこれを蛍光色素と結びつけ、手術中に脳腫瘍の境目が光るようにして、外科医が切除すべき範囲を見分ける助けにした。砂漠のサソリの防御兵器が、がんを光らせる手段に変わった。
あなたの目が次に来る場所を狙う ドクフキコブラは前向きの牙の開口部から毒を絞り出し、数メートル離れた相手の顔に吹きかけて身を守る。研究者によれば、ただ目を狙うのではなく、約200ミリ秒後に目がどこにあるかを予測してそこへ吹きかけ、頭を振って噴射を広げる。目に入った毒は激しい痛みを引き起こし、視力を脅かすこともある。
丸見えの場所に隠れた13本の毒トゲ サンゴ礁のオニダルマオコゼは海底にこびりついた岩そっくりで、それこそが狙いだ。背には13本の硬い背びれのトゲが並び、それぞれ一対の毒腺につながっている。踏むと圧力でトゲの鞘が破れ、毒が傷口に押し込まれ、緊急処置が必要なほどの激痛を生む。この魚は何も追いかける必要がなく、ただ踏まれるのを待つだけだ。
毒で噛む唯一の霊長類 スローロリスは、毒を持つことが知られる唯一の霊長類だ。両肘の内側にある腺から油状の分泌物を出し、それをなめて唾液と混ぜることで毒性を帯びさせる。鋭い下の歯がくし状に並んだ部分に溜め込まれた毒は、噛みつきによって送り込まれ、人には灼けるような痛みと腫れを起こす。母親は子を守るために、その毒を子の体に塗りつけることさえある。