琥珀は、はるか昔に固まった木の傷跡 琥珀は樹液ではなく樹脂、木が傷をふさぎ侵入者を閉じ込めるために滲ませる粘り気のある液だ。数千万年をかけて樹脂は揮発性の油分を失い、固まって化石になる。バルト海の琥珀の多くはおよそ44万年前ではなく、樹脂を滴らせる広大な森が北ヨーロッパを覆っていた約4400万年前のものだ。たったひとかけらが、最初の霊長類が現れる前の一瞬を封じ込めていることもある。
ブラックライトにかざすと、琥珀は青く燃える 紫外線を当てると、本物の琥珀は蛍光を放ち、いつもの温かい金色ではなく乳白色の青や緑、ときには紫に光る。これは化石化した樹脂に閉じ込められた芳香族化合物が紫外線を吸収し、可視光として放ち返すために起こる。同じランプの下でプラスチックやガラスの模造品はくすんで暗いままなので、収集家はこの輝きを手軽な真贋判定に使う。
本物の琥珀は塩水に浮き、偽物は沈む 琥珀は驚くほど軽く、比重はおよそ1.05から1.10と、真水よりわずかに重いだけだ。塩を水の四分の一ほど溶かした濃い塩水に入れると、本物の琥珀は浮かび上がり、より重いガラスや大半のプラスチックは沈む。だからこそ嵐は海底から琥珀を引き剝がし、バルト海の浜辺へ打ち上げる。人々はそこで何千年も琥珀を拾い集めてきた。
溶剤を一滴で、若い樹脂と太古の樹脂を見分けられる 金色の樹脂がすべて琥珀とはかぎらない。コーパルは数千年から数十万年ほどの樹脂で、まだ完全には化石化していない。アセトンかアルコールを一滴垂らすと、コーパルは数秒で表面が溶けはじめてべたつくが、数千万年かけて固まった本物の琥珀は平然としている。この検査は、本物の琥珀として売られる安物のコーパルを何度となく暴いてきた。
丸ごと琥珀でできた一室が、戦争で消えた 琥珀の間は、彫刻された琥珀の板で床から天井まで覆われ、その背後に金箔と鏡をあしらった部屋で、1700年代にロシアの宮殿のために造られ、かつては世界八番目の不思議とも呼ばれた。1941年に退却する軍に略奪されて姿を消し、いまだに見つかっていない。丹念な復元には二十年余りと約1100万ドルが費やされ、2003年に落成した。
琥珀の中の泡は、太古の空気の標本だ 樹脂が表面を流れるとき、ときおり大気のごく小さな泡を内側に閉じ込めた。数千万年ものあいだ封じられたこれらの泡のおかげで、科学者は先史時代の空気を直接調べられる。白亜紀の琥珀の泡を調べた初期の研究は、太古の大気が現在の21パーセントよりはるかに高い割合の酸素を含んでいたと示唆した。議論の的となっているこの説は、当時の一部の昆虫がなぜあれほど巨大に育ったのかを説明する手がかりになるかもしれない。
1億年前に死んだ生き物を抱く琥珀もある 粘つく樹脂は幹を伝い落ちながら、昆虫やクモ、花、ときには小さなトカゲまで呑み込み、見事な立体のまま埋葬した。ミャンマー産のビルマ琥珀は約9900万年前のもので、恐竜時代のダニやアリ、カエルを今に伝えている。樹脂の殺菌成分と気密の封じ込めは、ほかのどんな環境でも朽ちてしまう細かな毛や翅の脈までも残す。
「電気」という言葉は、琥珀を指すギリシャ語に由来する 琥珀のかけらを羊毛でこすると、ぱちぱちと音を立て、髪の毛やほこり、藁くずを引き寄せる。古代ギリシア人は紀元前600年ごろにこれに気づき、琥珀をエレクトロンと呼んだ。数世紀のち、科学者たちがこの奇妙な引力を研究したとき、その語源から「電気の」という語を作り出した。日常語の「電気」は、光を放つ化石樹脂と、静電気で物がくっつく座興にまっすぐさかのぼる。