セレナイトは爪で傷がつくほど柔らかい 石膏の透明な結晶形であるセレナイトは、10段階のモース硬度でわずか2しかなく、約2.5のあなた自身の爪より柔らかい。新しい結晶面に爪を走らせれば、目に見える溝が残る。だからこそ鉱物学者は、石膏を硬度2の「爪で引っかける」公式の基準として、滑石の一つ上に置いている。
石膏の砂丘は、雨に流されない場所にしかできない 砂のほとんどは石英だ。石膏は水に溶けてしまうので、石膏の砂丘は極めて稀である。地球最大のその砂原、ニューメキシコ州のホワイトサンズには、約275平方マイルの真っ白な石膏の砂が広がる。あまりに乾いて閉ざされた盆地に閉じ込められているため、風が砂丘に積み上げる前に鉱物が海へ流し出されることがないのだ。
石膏ボードは水蒸気を吹き出して火と闘う 壁パネルが火に耐えるのは、何かの塗膜のためではなく、石膏が重量比で約21%の閉じ込められた水だからだ。熱すると、その結晶水は水蒸気となって抜け出し、最後の一滴がなくなるまでボードの表面を約100℃に保つ。その頑なに冷たい数分間こそが、壁の向こうの部屋に逃げる時間を稼いでくれる。
アラバスターは十分に薄く切ればガラスのように輝く 安価なガラスが登場する前、建築家はアラバスターで窓をはめた。これは透き通った石膏で、約1.5センチに切った板は、視線を遮りながら蜜色の光を注ぎ込む。現代の大聖堂でも今なお行われ、ステンドグラスをまるごと数千枚の紙のように薄いアラバスター板に置き換え、壁全体を柔らかな琥珀色の輝きに変えている。
硬石膏は水を飲んだ瞬間に60%膨らむ 硬石膏は水を取り除いた石膏であり、その水を取り戻したがる。地下水が届けば石膏へと変わり、体積で最大60%膨らむ。2007年、ドイツの町シュタウフェン近くの地熱ボーリングがまさにそれを起こした。地面は約30センチ隆起し、250棟を超える建物にひびを入れ、何世紀も立ち続けてきた町をゆっくりと引き裂いた。
サテンスパーは純粋な繊維による動くキャッツアイを放つ 石膏の絹のように繊維質な形、サテンスパーを磨くと、明るい光の帯がキャッツアイのように表面を滑る。色も塗膜も関係ない。そのきらめきは純粋な幾何学であり、それぞれ幅わずか5〜50マイクロメートルの平行な石膏繊維が何百万も並び、そこで光が跳ね返るのだ。セレナイト、アラバスター、サテンスパーはすべて、異なる結晶の姿をまとった一つの鉱物にすぎない。
パリ石膏の名はパリの丘に由来する 鋳型や型をかためるあの白い粉は、石膏を軽く焼いただけのものだ。わずか約120〜180度に熱して水分のほとんどを飛ばし、粉末に挽く。水を加えればすぐにそれを取り戻し、数分で再結晶して固まる。この名は、かつてパリの丘モンマルトルの下で採掘された、純度の高さで名高い石膏に由来する。
石膏は冷たい水より熱い水に溶けにくい ふつう熱は水が塩をより多く溶かすのを助けるが、石膏はあまのじゃくだ。その溶解度はむしろ約40度付近で最大となり、水が熱くなるほど下がっていく。この逆向きの性質こそ、硬く手ごわい石膏のスケールがボイラーややかん、熱い配管の内側にこびりつく理由だ。水が熱く流れるほど、鉱物はいっそう進んでそこから析出するのである。