サボテンは暗くなってからしか呼吸しない ほとんどの植物は昼間に表面の小さな気孔を開いて二酸化炭素を取り込み、その分、熱い空気に貴重な水を奪われる。サボテンはこの順番を逆にする。焼けつく日中は気孔を閉じたままにし、涼しく湿った夜だけ開いて二酸化炭素を取り込み、それを酸として蓄える。朝になるとぴたりと閉じ、蓄えた炭素を使って光合成を行い、膨大な量の水を節約するのだ。
サボテンのトゲは葉である トゲはただの鎧ではなく、何百万年もかけて姿を変えた葉である。広い葉は砂漠では水を失ってしまうため、サボテンはそれを硬く乾いた針へと縮め、光合成の仕事を太く緑の茎に移した。それでもトゲはしっかり役目を果たす。表面に日陰をつくり、肌のそばに動かない空気の層を閉じ込め、水を求める動物を追い払い、さらには夜露をとらえて根へと導きさえするのだ。
サワロは腕を出すまで70年も待つことがある 巨大なサワロは、ほとんど想像もつかないほどの忍耐強さで育つ。最初の10年はわずか数センチほどしかないこともあり、最初の枝分かれした腕を出すまでに50〜70年かかることも多い。成熟したサワロは高さ12メートルを超え、150年以上生きることもある。だから今、砂漠に立つ腕を広げた巨人の多くは、ゆうに一世紀以上前からすでに育っていたのだ。
野生のサボテンは世界の片側にしか育たない サボテンは世界じゅうの砂漠の象徴のように感じられるが、野生では一族すべてがカナダからパタゴニアまでの南北アメリカだけに自生する。例外はただ一つ、ヤドリギに似たサボテンで、その種子はおそらく鳥に運ばれてアフリカやスリランカに渡った。サハラからオーストラリアまで、ほかの土地で野生に育つサボテンは、すべて人の手で運ばれたものだ。
この小石は、じつは生きた植物 リトープス(生ける石)は、石のふりをして生き延びる多肉植物だ。一つひとつが、まわりの砂利に似せてまだら模様をまとった、ぶ厚く融合した一対の葉でできていて、水を求める草食動物の目を欺く。仕掛けは上面にある。透き通った「窓」が日光を、地面の下に安全に埋もれた光合成組織まで届ける。一年の大半は、この石のような窓だけが土の上にのぞいている。
この砂漠の花は、たった一晩だけ咲く 一年分のエネルギーを、たった一度の華やかな見せ場に注ぎ込むサボテンもいる。大きく淡い色の、強い香りを放つ花は暗くなってからしか開かず、たった一晩しかもたない。夕暮れに花開き、翌朝にはしぼんでしまう。淡い色と強い香りは、暗闇の中でその花を見つけられる唯一の送粉者、夜に飛ぶガやコウモリに向けられている。その夜を逃せば、また一年待つことになる。
アガベは一度だけ花を咲かせ、そして枯れる アガベは何年も――しばしば10〜30年も――厚くトゲのある葉をぎゅっと束ねたロゼットにエネルギーを蓄えながら、けっして花を咲かせない。そしてある時、突然、たった一本の巨大な花茎を立ち上げる。それは数メートルもの高さにそびえ、ときに一日で数十センチも伸びる。この開花は植物が蓄えたすべてを使い果たし、種子をつけると、アガベ全体が枯れてしまう。長い生涯でただ一度だけ、花を咲かせて。
南を指し示す砂漠のサボテン 釣り針のようなトゲをもつ樽サボテンは傾きやすく、しかもほとんどいつも同じ向き――南へと傾く。日当たりのよい南側のほうが速く、暖かく育つため、ずんぐりした樽全体が長い年月をかけて少しずつその方向へ傾き、ときには倒れてしまうほどになる。砂漠の旅人は昔からこれをおおまかな自然のコンパスとして使ってきた。だから「コンパスサボテン」と呼ばれるのだ。