あの藤色のリボン、実はオーロラじゃない アルバータ州のオーロラ愛好家たちが撮り続けていた紫色の筋は、実は科学が見落としていたものだった。衛星の観測で、それは幅およそ25 km、高度450 kmほどに浮かぶガスのリボンで、約3,000°Cで輝いているとわかった。普通のオーロラを描く粒子の雨ではなく、上空を横ざまに突き進む荷電ガスの速い流れに熱せられているのだ。愛好家たちはこれをスティーブと名づけ、その名が定着した。
オーロラはパチパチと音を立てることがある 何世紀ものあいだ、人々はオーロラがかすかにパチパチ、シューッと音を立てると言い張り、何世紀ものあいだ科学者は疑ってきた——あの光は高度100 kmあたりで起き、どんな音も届かないほど高いからだ。2012年、フィンランドの研究チームがついにその音を録音し、発生源が頭上わずか70メートルの場所だと突き止めた。風のない夜、空気の層が電荷をため込み、地磁気嵐がそれを小さな火花となって一気に解き放つのだ。
いちばん高い雲は夜、電気のような青に輝く ふつうの雲はせいぜい高度12 kmまで。これらは宇宙のふちにあたる高度約80 kmで輝き、地上が暗くなったずっとあとも日光を受けつづけるほど高い——不気味な電気のような青に灯る。正体は水の氷だが、氷は凍りつく芯を必要とし、その種となるのが「流星の煙」、つまり上空で蒸発した小さな流星が残す塵だ。初めて記録されたのは1885年。
火星がこぼした塵でできた、にせの夜明け 月のない暗い夜、本当の夜明けの前に、地平線から淡い光の円錐が立ちのぼることがある。太陽系の平面に沿って散らばる無数の塵の粒に、日光が散乱しているのだ。2021年、木星へ向かう探査機が何年もこの塵に浴びせられ、衝突の分布が意外な出どころを指し示した——火星の嵐が舞い上げた塵だ。
夕暮れには、地球自身の影を眺められる 沈む夕日に背を向けて、反対側の地平線を見てみよう。そこには淡いピンクの帯がかかり、その下では太陽が沈むにつれて暗い青灰色のくさびがせり上がっていく——そのくさびこそ、地球そのものが自らの大気に落とす影だ。上のばら色の帯は、夕日の光が散乱して目に戻ってきたもの。古い呼び名は「ヴィーナスの帯」。
三日月の暗い側を照らしているのは地球だ 細い三日月をとらえると、しばしば月の全体がぼんやりと見え、光の当たっていない部分が灰白色に輝いている。これが地球照——太陽の光が地球の雲や海ではね返り、月の夜側を照らすもので、その明るさは満月が地球を照らす約50倍にもなる。これを初めて説明したのはレオナルド・ダ・ヴィンチで、1510年ごろにその着想を素描に残した。
流れ星の正体は、燃える石ではなく光る空気だ 流星は摩擦で光るのでも、燃えるのでもない。秒速数十キロで突っ込み、よけきれない空気にぶつかって猛烈に圧縮するため、ガスは数千度まで熱せられ、光るプラズマへと引き裂かれる。見えている明るい筋は、そのほとんどが超高温の空気だ——石そのものは、たいてい砂粒ほどの大きさしかない。
暗闇でできた星座もある 多くの文化は明るい星をつないで絵を描く。オーストラリア各地の先住民(アボリジニ)はその逆を行い、天の川を切り裂く暗い塵の帯を巨大なエミューとして読んだ。その頭はコールサック、みなみじゅうじ座のそばにある、空でもっとも漆黒の暗黒星雲だ。首と胴は、光る帯に沿って数百光年にわたって伸びている。一年をかけて姿を変えるその恰好が、季節を告げる。