白いチョーク一本に隠れた8つのこと

DC·119 Deep Cuts
白い崖は、圧縮されたプランクトンの鎧

白い崖は、圧縮されたプランクトンの鎧

チョークは、そのほとんどが円石(ココリス)でできている。単細胞の海洋藻類、円石藻が脱ぎ捨てた微細な方解石の板だ。一枚の大きさはわずか2〜25マイクロメートル。それが数千万年も降り積もり、固い岩へと固まった。そびえ立つ白い海食崖とは、つまり無数のプランクトンが残した化石の鎧なのだ。
地質時代の一つは、チョークにちなんで名づけられた

地質時代の一つは、チョークにちなんで名づけられた

白亜紀の名は、チョークを意味するラテン語 creta に由来する。当時、西ヨーロッパ一帯に堆積した分厚いチョーク層にちなんだものだ。命名したのはベルギーの地質学者ジャン・ドマリウス・ダロワで、1822年のこと。およそ1億4500万年前から6600万年前までを指し、鳥類以外の恐竜を一掃した小惑星の衝突とともに幕を閉じる。
ドーバーの崖は、あなたの爪より遅く伸びた

ドーバーの崖は、あなたの爪より遅く伸びた

ドーバーの白い崖を成すチョークは、年にわずか0.5ミリメートルほどしか積もらなかった。死んだ円石藻が、温かく浅い海の底に静かに降り積もっていったのだ。たった1ミリメートルに、円石がおよそ180枚も重なっている。白亜紀後期、数千万年にわたって続いたそのささやくほど薄いプランクトンの雨が、いまや高さ約110メートルにそびえる崖を築き上げた。
チョークの中の黒い火打石は、溶けた海綿からできた

チョークの中の黒い火打石は、溶けた海綿からできた

白いチョークの崖に縞を描く、ほぼ黒い火打石の塊は、岩の内部で育った。海綿の骨格から溶け出したシリカが海底の泥に染み込み、ゲルとなって再び固まる。その際、地中に埋もれた生き物の巣穴をしばしば満たし、やがて緻密な微結晶の石英へと硬化した。火打石がごつごつと枝分かれした形をとり、チョークの中に整然と層をなして並ぶのは、そのためだ。
黒板のチョークは、たいていチョークですらない

黒板のチョークは、たいていチョークですらない

白い黒板用チョークの多くは、崖を成すあの炭酸カルシウムの岩ではない。その正体は石膏、つまり硫酸カルシウムで、漆喰に使われるのと同じ鉱物だ。きれいで均一な棒に成形しやすいことから、メーカーはこちらを好んできた。本物の炭酸塩のチョークは、いまや粒の粗い粉の出ないタイプとして売られるのが主で、教室にある日常のあの一本は、地質学的にはまったく別の岩なのである。
クライマーのチョークは、種類違いのチョーク

クライマーのチョークは、種類違いのチョーク

体操選手やクライマーが手にすり込む白い粉は炭酸マグネシウムで、地質学的なチョークの炭酸カルシウムではない。この入れ替えは意図的だ。炭酸マグネシウムは水にほとんど溶けないため、汗を吸い続けてグリップを保てる。一方、炭酸カルシウムなら湿気を吸い込んで溶けてしまう。あだ名は同じでも、中身はまるで別の化合物なのだ。
ビリヤードのチョークに、チョークは一切入っていない

ビリヤードのチョークに、チョークは一切入っていない

プレーヤーがキューの先に塗りつける小さな青い立方体には、チョークなど一切含まれていない。標準的なブロックは、細かく砕いたシリカが80〜90パーセント、それに結合剤と、ひとつまみの硬いコランダムの粒が加わっている。この微小な研磨粒子が革製のタップとボールに食い込み、キューが滑らずにグリップする。名前だけは、かつて本物のチョークを使っていた時代の名残として残ったのだ。
世界のチョーク・ストリームの85%は、イングランドが守っている

世界のチョーク・ストリームの85%は、イングランドが守っている

チョーク・ストリームは地球上でもっとも希少な河川環境のひとつで、世界に約200しか存在せず、そのおよそ85パーセントがイングランドを流れている。チョークの帯水層から湧き出すため、水は濾過され、緩衝されて、ジンのように澄みきり、一年を通して一定の摂氏10度近くを保つ。こうして植物や魚にとって、めったにないほど安定したすみかが生まれるのだ。
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