電子がアインシュタインに従うから液体のままでいる
水銀は日常的な温度で液体である唯一の金属で、摂氏マイナス38.83度で融ける。その理由は相対性理論にある。水銀の原子核はあまりに重いため、内側の電子は光速のかなりの割合で動き、質量を増して外側の電子を強く引き寄せる。その電子は強い金属結合をつくらず自分の原子に縛られたままになるので、原子どうしはかろうじてつながっているにすぎない。相対論を無視した計算では融点は約82度と予測されるが、考慮すると凍る寸前という実際の値になる。流れる銀色の滴は、目に見える量子物理学なのだ。