地球で最も古いものは、ほんの一粒の結晶だ これまで見つかった地球で最も古いかけらは岩石ではなく、西オーストラリアのジャックヒルズで採れた微小なジルコンの粒で、約44億年前のものとされる。現存するどの岩石よりも古く、地球そのものが生まれてからわずか数億年後に形成された。ジルコンは非常に頑丈で、自らを生んだ岩石よりも長く残り、幾度もの侵食を生き延びて、その年代を今の私たちまで運んできた。
すべてのジルコンは、時を刻む小さな時計として生まれる ジルコンは結晶化するとき、ウランは進んで結晶格子に取り込むが、鉛はほとんど激しいほどに拒む。だから生まれたばかりの結晶はウランを含み鉛はゼロで、後から見つかる鉛は、そのウランが既知の速さで一原子ずつ崩壊してできたものでしかありえない。その比を測れば結晶の年代を直接読み取れる。この手法は約100万年前から45億年以上前まで通用し、しばしば誤差1パーセント未満の精度を出す。
ジルコンとキュービックジルコニアは別物だ 名前は双子のようで、どちらもダイヤモンドの代用になるが、両者に関係はない。ジルコンは天然の鉱物で、ケイ酸ジルコニウムが地中で長い年月をかけて育ったものだ。キュービックジルコニアは実験室で作られる二酸化ジルコニウムの結晶で、ダイヤモンドを安く模すために発明された。天然石のほうが軟らかく硬度6〜7.5ほどで、大地が生んだ色合いを帯びる。合成石はより硬く、たいてい欠点のない透明さをもつ。
ジルコンの中には、自らをゆっくり壊していくものがある ジルコンを時計に変えるそのウランは、ジルコンを壊しもする。原子が崩壊するたびに、わずかな反跳が結晶格子をさらに乱していく。数億年のあいだに損傷は積み重なり、かつて整っていた結晶は、膨らんでガラスのように崩れた塊になる。メタミクトと呼ばれる状態で、しばしば緑や褐色に染まる。深い時を記録する鉱物が、自らの放射能によって静かに分解されていくのだ。
模造ダイヤが現れる前、宝石商はこれを使っていた 無色のジルコンは白色光を虹色に分け、まばゆい輝きと「ファイア」を放つため、キュービックジルコニアが生まれるはるか前から、何世紀にもわたってダイヤモンドの定番の代用品だった。最も華やかなのは、褐色の石を加熱して得る鮮やかな青で、現代の12月の誕生石でもある。約1.95という高い屈折率が、この石にダイヤモンドのような閃光を与えている。
覗き込むと、稜線が二重に見える ジルコンは通り抜ける光線を非常に強く二つに分けるため、その効果は肉眼でも見える。カットされた石の上から覗き込むと、奥のファセットの稜線が二重に、わずかにぼやけて、二度刷りしたように見える。この複屈折は宝石学者がジルコンを見分ける手がかりで、研磨師は石の向きを慎重に定めなければ、内部全体がぼやけて見えてしまう。
浜の砂に混じるその粒が、失われた山々を地図に描く ジルコンは風化をものともしないため、その微小な粒は、母なる山々が砂へと崩れ去ったあとも長く生き残る。粒はほぼあらゆる砂岩に行き着き、それぞれが結晶化した岩石の年代を今も抱えている。地質学者はそれらをふるい分け、一粒ずつ年代を測る。年代の広がりは砂の出どころを明らかにし、古代の川や、姿を消した山脈全体までも、深い時を越えてたどり描き出す。
ある結晶は、海が驚くほど早く現れたと語る 最も古いジルコンの内側には、その誕生の化学的な記憶が閉じ込められている。中に捕らえられた重い酸素原子と軽い酸素原子の比は、結晶が地表近くで液体の水と触れ合ったときにしか生じない。約43億〜44億年前の粒にその痕跡が見つかるということは、地球が誕生からわずか数億年で液体の水を、おそらくは海をもてるほど冷えていたことを意味する。かつて科学者が信じていたよりもはるかに早く。