ロープを三巻きするだけで船を留める ロープを杭に数回巻きつければ、あとは摩擦が重労働をこなす。一巻きごとに握る力は増していく。保持力は接触する角度に応じて指数関数的に高まるからで、船員の軽い引きでも数千倍のものを押しとどめられる。甲板員ひとりが係船柱で船を止められるのも、ウインチに数巻きあれば足りるのも、これゆえだ。
水をくみ上げるねじが、いまや電気も生む 巨大ならせん状のねじを回すと、水を斜面の上へすくい上げる。およそ2,000年前の仕掛けで、今も田畑を干し、下水をくみ上げている。逆に回し、落ちる水でねじを回せば、同じ機械が発電機になる。流れが開いたくぼみに収まったままなので、魚も傷つかずにすり抜ける。だからこそ古いねじが川で次々とよみがえっている。
一方には伝え、もう一方には固まる歯車 ウォームギアは、ねじに似たウォームと歯のついた車輪を組み合わせたものだ。ウォームを回すと車輪はゆっくり大きな力で回るが、車輪を逆に押しても何も動かない。ねじ山の浅い角度ががっちり噛み込むからだ。この一方向だけの自己ロックがあるからこそ、ブレーキなしで糸巻きや門、巻き上げ機をその場に留め、荷がかかってもほどけようとしない。
落ちる重りは、ばねより遠くへ石を飛ばす それ以前の投石機は、ねじったロープやしならせた木材にエネルギーをためていた。カウンターウェイト式トレビュシェットは、長い腕の短い側へ大量の石をただ落とすだけだ。反対の先につけた投石ひもが、振り上がりの頂点で飛び道具を放つ。投石ひもが第二のてことして働き、最大級の機械は重い石を数百メートル飛ばせた。
車輪の中を歩く一人が、大聖堂を建てた 中世の建築職人は、人が踏み回す車輪で何トンもの石を持ち上げた。大きな木の太鼓の内側を作業者が歩く。車輪の縁はロープを巻き取る軸よりずっと外側にあるので、縁にかかる体重がロープを引く巨大な力に変わる。一人か二人で約2トンの荷を巻き上げられ、こうしたクレーンの多くは何世紀ものあいだ教会の塔に据えられたままだった。
鎖を引いて手を放せば、荷はそのまま宙に留まる 差動式チェーンブロックは、上部にほぼ同じ大きさの連結した滑車を二つ使う。歯がひとつふたつしか違わないので、手鎖を一度引くたびに荷はわずかずつ、大きな力の有利さとともに上がる。このほぼ同寸のおかげで、手を止めた瞬間に摩擦が勝つ。だから爪も錠もないのに、荷は宙のその場に留まる。
ねじとは、棒に巻きついた坂道だ ねじの山をほどいて伸ばせば、ただの長くゆるやかな坂道にすぎない。だからこそジャッキの取っ手をわずかに回すだけ――ぐるりと長い道のりを進ませて――車を短い距離だけ持ち上げられる。回す距離の多さを、持ち上げる巨大な力と引き換えにしているのだ。強さを生むその浅い傾きが、同時に自己保持も生むので、荷は沈み戻らない。
ほぼ一直線で、軽い一押しが巨大な締め付けになる 二つのリンクをほぼ一直線に並べると、奇妙なことが起きる。継ぎ目への軽い一押しが、両端では押しつぶすほどの力に変わるのだ。リンクが直線に近づくほど、てこの効きが増していくからだ。この死点越えの仕掛けが工作物を締め、ボンネットを掛け、ペンチを噛み合わせる。しかも閉じたまま動かない。荷の側から継ぎ目を押し戻せないからだ。